行政院農業委員会( 日本の農林水産省に相当、農委会)は、台湾における農業の人材不足を解消するため、政府が掲げる「新南向政策」対象国の青年にもワーキング・ホリデー制度を実施する計画。早ければ6月にも半年試験的に実施される見通し。そのほか5月には、出漁期以外の漁師が農業に従事する労働形態制度も開始する計画だ。「新南向政策」とは、東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアなど18カ国との幅広い関係を強化する政策。
農業における深刻な人手不足解消のため農委会は、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイなどの政府とワーキング・ホリデー協定の締結を計画している。初期段階では、4カ国から各200人ずつを受け入れ、試行制度を導入する。これらの人材が短期的な季節労働者として、台湾における農業の労動力不足を補うよう期待が持たれる。
現在ワーキング・ホリデー制度を交わした国家からの受け入れは20~30歳の青年に限定されているが、新南向政策対象国の4か国との同協定締結では、これを20~45歳までに引き上げる予定だ。また滞在期間は最短180日、1年から2年までの延長を可能にする計画だ。4か国、約15万人に上る、台湾住民の東南アジア出身配偶者を通じて、これらの配偶者の親戚や友人が台湾に来て、親族訪問をしながら仕事をするよう引きつけるのが狙いだ。
ワーキング・ホリデー協定は、互恵の協定だ。農委會は、専門能力のある台湾の若い人材の海外での就労や市場開拓も計画している。今年、台湾南部のライチは豊作が見込まれ、収穫時の人手不足の問題が懸念されている。農委会の農糧署は、シーズンオフの東南アジアの漁業者を農業に回す方針で来月にも試験的に実施される見込みだ。これらの外国人漁業者は団体で行動し、関連のプロセスはすべて「就業服務法(雇用サービス法)」に符合しなければならない。
なお、ワーキング・ホリデー制度による雇用形態は通常とは異なる方式が導入され、収入や待遇も通常の外国人労働者とは異なる。田植え作業を例にあげると、一日8時間の労働で日給は約1,800~2,000台湾元(約6,500~7,300日本円)。ニンニクなどの収穫の場合は、日給が1,200~1,500台湾元(約4,400~5,500日本円)になるという。